子供の頃の時間はゆっくりです。
父がいて母がいて、そして姉がいました。
おとなしい父、気難しい母、
そしておっとりたした姉。
休日にそれぞれが各部屋でのんびり過ごした日々が思い浮かびますが、
遠い遠い記憶になってしまいました。
家族は思ったよりずっと早くお別れが来る事を全く理解していませんでした。
両親はもうこの世にはいません。
実際4人で過ごしたのは20年ありませんでした。
姉はよく私に言っていました。
「あんたとが一番長く家族だから。たった一人の姉妹だし。」
と。
順番で両親は先に逝くという意味でした。
そう言って可愛がってくれる姉が好きでした。
まさか生き別れになるとは思いませんでした。
姉が結婚すると聞いた時にも、
もう帰って来なくなる事が寂しくて考えないようにしました。
結婚式当日、朝からずっと一緒にいて
結婚式場に二人で早く着き一緒にサンドイッチを食べました。
結婚式の最後の場面になった時、
姉との別れの現実に耐え切れず、席で涙が止まりませんでした。
この時が姉との最初の別れでした。
そして、結婚した姉はどんどん変わってしまいました。
遂には、両親を追い込み、
母が逝ったあとの父を追い込み
それが原因で父は自死しました。
この時に姉との永遠の別れの時が来てしまいました。
私は姉を許す事はありません。
もう、私は姉とは会う事はありませんが、
昔、子供の頃思った事があります。
もし、年老いてお互い一人になる事があったら、
姉と一緒に暮らせるかな、と。
子供の頃の私たち姉妹は手を繋いでいたからです。
子供の頃に描いていた未来と今は全く違います。
この後の人生も予想もしなかった事が起こるでしょう。
見えない未来は怖いですが、
良い事もきっとあると思って残りの人生を過ごしたいです。
もうとっくに人生折り返しているのですから。