心臓の手術、そしてトラウマ

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健康

・4歳心室中隔欠損の手術をしました。

 物心ついた頃から、張り詰めた病院にいる事が多く、今でもその頃の病院の風景は脳裏に焼き付

 いています。

 病院に着き、待合室に入るために靴を脱ぐところから緊張が頂点となります。

 そこでは病院の先生が難しい顔をしていました。

 痛い事も淡々処置されていたので、いつも怯えていました。

 私の子供の頃は、病院の先生はこんな感じの人が多かったです。

 今の病院はただ怖いだけではなくなっていますね。

 先生方も今は話しやすい方が多いです。

 『先生』と名前がつく立場の人が、昔は威厳が有りすぎたのかもしれません。

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 これは私が大人になったからだけではなく、時代の変化もあります。

 医療従事者は信念が無いと出来ない職業なので、もちろん尊敬していますし、たくさんお世話に

 なっていて感謝もしています。

 看護師さんに時々優しくされるとまさに天使に見えました。

 手術を控えた夏の終わりのある日、幼い私は父にいちごが食べたいと言いました。

 いちごが普通に売っていない時期に、父は駆けずり回って買って来てくれました。

 食が細い上に手術が無事に済まなければ死んでしまうかもしれない私が、不憫で心配だったの

 です。

 気が弱いけど優しい父に、甘えられたのはそんな時でも幸せなことでした。

 病院の廊下も洗面所もトイレも売店も全てが怖かった。

 そして、意識が消えながら手術室に入った時の事もぼんやり覚えています。

 自分がどこか遠くに連れて行かれるという中で意識が無くなりました。

・トラウマなのか、今でも病院はもちろん健康診断すら苦手の私。

アルコールの匂い、白衣の人、治療器具のカチャカチャした音、内臓が映っている画面、先生のスリッパの音、血圧を計る器具の触り心地、点滴が下がっている様子、レントゲン室、心電図を図る時の大きな洗濯ばさみのような器具、カルテを確認している時の沈黙、カルテを書いているのを待つ間、車輪のついている動くベッド、診察の時の丸い椅子、注射の針、喉の奥を見る時に入れる器具、待合室の寂しさ…全てが苦手です。

 このトラウマはもう一生続くでしょう。

 大人になっても何度場数を踏んでも、どうにも治らず克服出来ないのです。

 病室の寂しそうな笑顔の写真の小さな私に、よく頑張ったとエールを送りたい…。

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