姉は夕方から飲酒を始めます。
元々お酒は好きでしたが、結婚して暫くしてから、キッチンドリンカーになりました。
そして、夜にかけて飲み続けどんどん荒れていきます。
専業主婦の姉は、平日はママ友とランチに行く事を楽しみに暮らしていました。
そうやってのんびり暮らす事が幸せだったのです。
年老いた親からの呼び出しが嫌で仕方ありませんでした。
「ランチの約束しているの!」
と大切な話があっても電話を切ってしまうと、父が言っていました。
当初は心のどこかで一人になった年老いた父の事を、心配はしていたのではないのでしょうか。
だから葛藤があってお酒に逃げていた…。
両親の世話が嫌で現実逃避を続けていました。
お酒の量がますます増えていきました。
夜、自宅に私が電話をかけると、義兄が出て、後ろで騒いでいる姉の声がしました。
父の事でやりもしない、やらなきゃいけない事を並べて嫌だ嫌だと叫んでいました。
話になりませんでした。
義兄は私の父に似たやはりとてもおとなしい人でそんな姉を押さえつける事が出来ませんでした。
姉は父からの着信履歴を携帯で見るのも嫌だったようで、父からの電話を着信拒否をしている時もありました。
「言い方が嫌だ。」
「●●をしたのにあんた(父)からお礼がない。」
「●●を買うと約束したのに、買おうとしない。」
「態度を改めなければ、着信拒否をやめない。」
「相手の迷惑を考えずに電話をかけるな。」
このような内容のFAXが姉から父へ届いていました。
私が実家に行った時に姉からのFAXを見て愕然として、父を慰めましたが、一人でそのFAXを見た時の父の悲しみを考えると胸が張り裂けそうでした。
姉は心の病気。
父もそう思っていました。
父にとってはどんな事をされようと言われようと、姉は可愛い娘であり、心配していました。
私にとっても大切な姉でした。
もう私や父ではどうにもならなくなっていたので、私は義兄に姉を心療内科へ連れて行くようにお願いしました。
義兄とも何度も話し合いました。
私も心配している事を義兄に伝え、何か私に出来る事があれば言って欲しい事も伝えました。
義兄も分かっていたのですが、本人が嫌がり病院へは連れていけませんでした。
私も姉が住んでいる地域の心の相談窓口に状況を相談しましたが、せめて配偶者からでないと色々な手続きが何も出来ませんでした。
そうしている間にもどんどん姉の父への仕打ちがひどくなっていきました。
そんな関係なのに、その頃私の知らないところで、姉一家と父の同居の話が進んでいたのです。
話が大分進んでから父から私は聞きました。
父は私が心配すると思って伝えられなかったのです。
姉は父とは暮らしたくないのに同居して、父の年金を新しいマンションのローンに充てようと考えていたのです。
愕然とした私でした。
その頃の私は家庭に大きな問題を抱えていました。
主人からの暴力です。
私が実家に戻って父と娘と暮らすのも一つの手段でしたが、娘をひとり親にする決断が出来ず悩んでいました。
とりあえず私のすぐ近くで父が暮らす案を父に提案しました。
父も喜んでその案を受け入れました。
父は勇気を出して姉との同居を断る決断をして姉に伝えました。
その事で父が更に追い詰められてしまいます。