年老いてからの父はキャラメルの紙をはがずのもなかなか出来なかった。
私は年取ってから生まれた子供で、父は大正生まれ。
小学生の頃、大正生まれのお父さんは珍しいと
担任の先生に言われた。
今ならそんな差別的な事、
言ったら問題だろうな。
近眼で老眼だった。
薬を飲むのも、トクホンを貼るのも
メガネを取って、簡単ではなかった。
紙をめくるのが苦手だった。
身体が動かないわけではない。
老化もあったけど、不器用だったのだ。
よくあちこちぶつけては
「イテッ」
と言ってさすっていた。
そんな父だが、パソコンも得意だったし、
車の運転も普通にしていた。
[ad]
私も老眼で近眼で乱視で…メガネがないと本当に何も出来ない。
見えないとメガネを取ったり外したり、
簡単な作業がはかどらないと
本当に嫌になる。
手芸も本当は好きだけど、
細かい作業は疲れてしまう。
いつからこんなに生きづらくなったのかな…と。
小さな火傷をよくするようになった。
熱いとわかった瞬間の動きが遅くなったので、
失敗してしまうのだと思う。
流水で冷やしながら
また火傷か…と呟く。
ドアを閉める時に
気持ちはどけていた手や足がどいていなくて
挟む。
けっこうな痛みで暫く痛い。
つい最近も遠り抜けた場所のつもりが身体はまだ後ろで
足の小指を椅子の角にぶつけて
スニーカーが履けないくらい痛かった。
怖がりで慎重な私は
今までの人生で怪我が少なかった。
最近、顕著に怪我が増えた。
不器用な父の苦労を今更ながらに思い出す事が多くなった。
これから更に歳を重ねてますます生きづらくなるだろうけど、
今の自分を理解して前に進むしかない。
生きるって大変だ。


