初めての子供の赤ちゃん時代。
女性が一番幸せな時ではないでしょうか。
純粋な何の疑いもない瞳で母親を見つめてくる我が子。
赤ちゃんの良い香り。
柔らかい赤ちゃん。
天使の笑顔。
可愛い必死の泣き声。
全てが愛おしいです。
そんな母親として幸せの絶頂期でしたが、夫が帰宅すると私の心身に緊張が走りました。
「まだ、働かないの?」
「どこかに預ければ?」
夫の転勤で住み始めて妊娠して知り合いもいないこの土地で、乳幼児を抱えてそんな要求されても、どうしたらいいかわかりません。
夫は自分のお給料は全て『俺の金』なのです。
『俺の金』で生活して、可愛い我が子を抱いて幸せそうに暮らしている私に苛ついていたのです。
些細な事でも気に入らないと直ぐに暴力をふるう事が悪化していきました。
キッチンで後ろ向きで料理をしていた時に、いきなり頭を殴られました。
咄嗟に何が気に入らなかったのか分からないくらい些細な事でキレたのです。
内容を思い出す事も出来ません。
身体中に緊張が走る中、子供を抱えて狭い家の中を逃げました。
それ以来、どうしても料理をする時は後ろ向きになってしまうキッチンの作りだったのですが、料理をしながらも絶えず後ろを気にするようになりました。
それでも料理に集中すると後ろ向きだと急に来られると避けられず、思い通りに殴れるので、何度か同じ事がありました。
それ以来、もう別居していて夫から離れられた今でも尚、後ろに誰かいると緊張します。
特に男性です。
信号待ちでも、レジで並んでいても、電車に乗っている時も、そして会社で後ろに男性が立っている時も、です。
世の中、優しい男性もたくさんいるのは充分分かってはいるのですが…。
ずいぶん緊張の度合いは軽くなってきてはいるので、死ぬ頃にはトラウマが無くなるなるような気がしますが、トラウマを消すのは本当に時間が掛かるものです。